2015年1月28日水曜日

【Disk Review】weave "The Sound"(2013)

(去年の)ベストディスク企画にも出した1枚です。

weave "The Sound"(2013)
Rate 4.30/5.00


横須賀のエモ、weaveの1st。これまで彼らがリリースしてきた音源からチョイスされた曲のアルバムになっているみたいです。僕自身家がかなり横須賀に近く、横須賀のライブハウスにもお世話になっているので、どこかで一度ライブを見てみたいバンドです。

エモの繊細な部分だけでなくパンクの太さ、衝動も併せ持っているという点で、MineralやJimmy Eat World等に通ずるものがあるバンドだと思います。時に野太く伸びやかに、時にファルセットなどを使いながら驚くほど繊細なメロディー、「奇麗な轟音」とも言える青く透きとおった歪みのギター、曲の表情を一瞬で変えてしまうリズム。自分たちの間合いを大切にしながら繊細にメロディーや音を積み重ねていき、ある一点をきっかけに太く衝動的な部分が出てくる、スカッとした青さがとてもいいです。

曲単位でもそうなのだけど、アルバム単位でも繊細さと衝動的な部分のバランスはすごいよく考えられていて、様々な感情の起伏が伝わってくるような気がします。なのでここからは各曲を「流れ」に注目しながら書き進めて行きます。

まずM-1"Fount From the Fountain"〜M-2"Need For Solitude"〜M-3"Fold"の流れ。ひっそりとアルペジオから少しずつ始まっていくM-1から、アルペジオ主体で進んでいって、これでもかと貯めてからチョーキングのギターを合図に爆発するM-2、そして一度爆発してしまった物は止められないと言わんばかりになだれ込むM-3。



そしてもう1つ、M-5"Introduction"〜M-6"Let Me Alone"〜M-7"Walk a Bit Slowly"の流れ。元々1つの曲と思われるM-5,6は曲のキーとなるアルペジオとフィルから始まっていて、一度盛り上がった後にサビから歌が。ギターと歌だけでイントロの盛り上がりを一気に塗り替えていくわけで、こんなの心動かされないわけがないです。M-7はアコギのアルペジオから。パワーのあるパートの後にはしっとりした曲を、ってアプローチは決して新しい物ではないけど、この曲は中盤にシリアスなパートを入れていますね。シリアスなパートはアルバムを通してもあまり多くないので、とても印象的。何かに吹っ切れたかのような清々しさが爆発するM-5,6とあらゆる面で対をなしていて、奇麗な流れだなあと思います。



M-10"Into the Everyday Life"も名曲です。3拍子主体の曲が多い中、珍しくシンプルなリズムの曲。彼らのサウンドは太く衝動的な部分をいかに爆発させるか、というのが1つのキーだと思うのだけど、この曲は起爆剤としてのギターが冴え渡ってます。「奇麗な轟音」の中で鳴らされるかなり歪んだリードのフレーズやハーモニクス、スクラッチを合図にどんどんボルテージを上げていくのは圧巻です。爆発に合わせて伸びやかさを増していくメロディーもとても心地よくて、思わず聞き入ってしまう。そしてMVにはないけどその後の終わりを感じさせるアルペジオ。楽しかった時間の後にふっと我に返るかのような感じが心に響きます。

一音ずつ積み重ねた上に「奇麗な轟音」を爆発させていく、起伏に富んだ素晴らしいアルバムです。早く生でこの轟音を浴びてみたい。

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