2019年2月26日火曜日

【Disk Review】Adrenalized "Operation Exodus" (2019)

圧倒的な経験の積み重ねの上に成り立つ傑作!

Adrenalized "Operation Exodus" (2019)



スペイン、サンセバスティアンの高速メロディック、Adrenalizedの新作です。今回はBird Attackを抜けて、La Agonía De Vivirというマドリードのレーベルからリリースするようです。

そんなリリース情報はこれくらいにしておいて、ついにAdrenalizedの新譜がきました!去年来日するタイミングで、レコーディングが終わったとかどうとかの話になっていた1枚。恐ろしいスピードと痛快なリードギター、琴線に触れるメロディーワークと彼らの武器が活かされたとんでもないアルバムです。


アルバムは恐ろしいスピードで展開するM-1"Operation Exodus PartⅡ"、M-2"Set It on Fire"からスタート。このスピードでうねるようなコードワークと細かく刻むリフを多用するのはさすがの一言に尽きます。そして今作でキーになるのが次のM-3"The Story to Believe"~M-4"Revenge"~M-5”Engaraving in Stone”の流れ。

前作で言えば”Taking Doctrine”や”Crawling in~”的な、メロディーとシンガロングで突き抜けていくスタイルがスケールアップしたM-3、エモーショナルな響きのフレーズをリフに取り入れたM-4、ダウナーなコードワーク+ミドルテンポで始まるM-5と、3曲ともスタイルは様々。

しかしながら彼らのエモーショナルなリフワークや、スピードに頼らないスタイルで勝負できる、「コアな高速メロディック」バンドから脱却している姿がこの3曲には落としこまれているように思います。後半にもM-9”Decide”、M-10"Gezzura Ari Du"とスピードに強みを置かない曲が再び並んでいるのだけど、これも以前の彼らだったら考えられないこと。前作のリリース後世界中をツアーして得られたものの積み重ねではないでしょうか。


そういう意味だと、今作はMuteが”The Raven”~”Thunderblast”~”Remember Death”と、アルバムを追うごとにシーンで絶対的な存在になって行ったような流れに、彼らも歩みを進めた1枚と言えます。今の彼らなら、一つのジャンルのいくつかの部分を突き詰めたがために広がりがない、いわばジリ貧状態の高速メロディックシーンだけでなく、もっとビッグなシーンでも十分に戦えると思います。

大それたことを書くくらいなので、間違いなく今年3本の指というか、ここ数年でも屈指の1枚です。これが後発のバンドのマイルストーンになるのか、それともハイクオリティすぎて誰もついてこられないのか。高速メロディックシーンはどう転んでいくのだろう。

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