2015年7月21日火曜日

【Disk Review】69 Enfermos "Beyond Borders" (2015)

小細工ナシ、堂々と自分たちの音楽に向き合う中南米の雄。

69 Enfermos "Beyond Borders" (2015)
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コロンビアのメロディックパンク、69 Enfermosのアルバムです。彼らは今年で結成20周年を迎えるベテランで、過去にはRufio、Forus、AWSなどそうそうたる面々のコロンビアツアーをサポートしたことのある、実績十分のバンドです。

彼ら自身これまでリリースはいくつもしているのですが、今回初めて全編英語詞で歌う事にチャレンジをしたようです。20年のキャリアがありながらここで新たな事にチャレンジしようと思える発想と、実行に移せる行動力は本当に尊敬に値すると思います。

そのアルバム。もともとNo Use For A Nameからの影響が強い事を公言しているだけあって、1音目からMaking FriendsからHard Rock BottomごろまでのNUFANを想起させる音が印象的です。シンプルにツタツタと刻まれるビート、ハードな音とは対称的で少しナヨっとした、物悲しげなメロディーライン。どれもエッジが効いていて、それでいてすうっと心に染み入ってくる感じはとても懐かしいものがあります。

彼らのやっている事は何も特別な事ではなく至ってクラシックなものです。ちょっと意地悪なことを言ってしまえば、何の真新しさもない。でもこうした懐かしさを表現するのっておそらく後追いのバンドではなかなか難しくて、当時から活動を続けてきている彼らだからこそできることなのかなと思います。意図してかはわからないけど、変に新しい物を取り入れようとせず自分たちのスタイルを貫いたことは、結果として大正解だったのではないでしょうか。

僕のこの中でのベストトラックはM-3"Maribour"。サビに入ると同時にギターがオクターブで展開して一気に世界が広がるこの曲には、初めてメロディックとかを聴きはじめた頃の「次は何があるんだろう!」ってウキウキした感じを思い出してしまいました。


自分たちがバンドを始めた頃のシーンがクラシックと形容されるようになってくる中、それでもスタイルを守り続けてきた、彼らの経験と自身が全て詰め込まれた素晴らしい1枚だと思います。

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