【Disk Review】Please Please Me ”S/T”(2015)

なにこれ！

Please Please Me "S/T" (2015)

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ロシアはモスクワのポップパンク/高速メロディック、Please Please Me。アルバムは2枚目、EPでもう1枚リリースがあります。ただこのアルバムがbandcampで購入可能である他は、Soundcloudでストリーミングするしかないみたいです。

一瞬女性ボーカルかと聞き間違えるようなハイトーンと、ポップパンクをベースにしたタフなスタイルで軽快にかっ飛ばすのが特徴の彼ら。最近はポップパンクであったり、日本のメロコアみたいなスタイルの曲が増えるんだけど、このアルバムはテクニカルなリフが冴え渡るのがポイントです。

なんと言っても度肝を抜かれたのがオープニングのM-1”Осколки”。いきなりタッピングで始まって、あとはピロピロペケペケ超絶技巧パターン…かと思いきや、00年代ポップパンクを彷彿とさせる8ビートの展開を挟んでから2ビートに入ってきます。高速メロディックをやろうとするのではなく、軸足はポップパンクに置いたままで、展開のさせ方のオプションとして2ビートとかタッピングを使っているような感じ、といえばいいのか。そのセンスと塩梅が抜群すぎます。

M-6“Молодость”もそうした絶妙な塩梅で成り立つ名曲。ポップパンクやポストハードコアのボーカルがたまにやる、妙にセクシーな歌い方が印象的です。それでいてリフがびっくりするくらいテクニカルで、こんなリフをこの曲に載せちゃうのか！という贅沢さすら感じられます。本人たちはやりたいことやってるだけなんだろうけど。

アルバムにはソリッドでなリフを主体にしたM-3”Числа”しかり、もう少し素直にメロディックをやる曲もあって、これがまたなかなかカッコいいんです。ただ残念ながら最近のリリースでこういう系統の曲はないようで…

ということで上述の通り、ポップパンクに超テクニカルリフを絡めた、そのセンスと塩梅に脱帽の1枚です。オススメ。