2017年8月23日水曜日

【Disk Review】Azami "DAWN" (2017)

夜明けの空を優しく染める轟音。

Azami "DAWN" (2017)



越谷のメロディックハードコア、Azamiの新作です。MAD TRIP TRAXというレーベルからのリリースのようです。

昨年はサマソニやCapsize来日ツアー招聘、海外フェス出演など、他のバンドとは比べ物にならない経験をしていた彼ら。流動的だったリズム隊もメンバーが固まったようで(ドラムの方は元strain for us)、色々と万全なタイミングでのリリースみたいですね。


00年代中盤のスクリーモ感をベースにしながらも、どちらかといえば突き刺さるような日本語詞の響きを大切にしていた印象のあった前作”Lilac”。それに対して今作は、メロディックハードコアの持つ攻撃的で爆発するかのような勢いとタフなリズムをベースに、ボーカル、楽器陣で一つになって強烈なメッセージを発しているような印象を受けました。M-5”陽炎”やM-6"空が白む頃"の前作の流れを汲んでいると思われる曲も、以前とは一味違ったタフさ、力強さを持っていて新鮮です。

またM-1”Sash”で顕著なように、全体を通じてエモーショナルで張り詰めた雰囲気ながら、どこかポジティブで優しい空気を持っているのも印象的です。多くのJ-POPとかJ-ROCKが持つような、なんでも肯定しようみたいな商業的なポジティブさや優しさとはちょっと違う、もっと根本的で、人間じみた泥臭い優しさが垣間見えるというか、映画版のジャイアンというか(正しい例えかは謎)。硬派さを追求してしまいがちなこの手のジャンルの中で、去年のTo The Windの新譜にあった聴き手に叩きつけてくるようなダウナーさがメロディックハードコアのひとつの進化だとするなら、それとは逆方向の進化の形が今回の彼らなのかもしれません。

ハードコアやメタルコアのバンドとライブを共にしているイメージが強いので、もしかしたら無機質で重たくなっていたりするのかなと思っていたのだけど、蓋を開けてみたらそんなことはなく最高に彼ららしい一枚でした。またライブ見たいなあ。

 

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