2014年8月12日火曜日

【Disk Review】Father Figure "People Leave"(2014)

日曜日にライブに出演してきたわけですが、台風の中駅からライブハウスまでバンド全員で雨に濡れながら歩いたところ、僕含めメンバー4人中3人が鼻水が出るという事案が発生しました。夏風邪に発展させたくないですよね。

今日はこれです。

Father Figure "People Leave"(2014)
Rate 4.27/5.00
Bandcamp/Facebook

ペンシルバニアの2人組エモバンド、Father Figureがリリースしたアルバム。同名のフュージョンバンドがNYにいるみたいで、ググってもそちらのほうが先に出てしまいます(しかもそのバンドもなかなかかっこいい)。このアルバムはBandcamp上でName Your Priceで入手可能です。結成がいつなのかとかまったくわかりません。Property Of Zackのインタビューによれば前身バンドの解散後、一緒に曲作りをするようになり今に至るようです。

生々しい音で刻まれるバッキングのギターに、ディレイがかかった強烈な上モノのフレーズをのっけるスタイルで、どの曲もなんだか冬の夕暮れ時のような暗さを持っているなあというのが全体での感想です。メンバー自身Title Fightからの影響を公言しているみたいですが、TFを生々しくて暗くしたらこんな感じなのかも。

曲単位で見てみると、暗い暗いといってもその暗さにもいろんな種類があることが判ります。暗い中でもサビのメロディーなんかは意外に力強い(Sugarcultっぽいかも)M-1"You're Young"。ボーカルが入るとぐっと音数が減って、消えてしまいそうなメロディーがさらに浮き立つM-3"Turn Around"。物悲しいリフから始まり、ぐっとトーンを落としたメロディとコーラスが最小限かつ荘厳な雰囲気を醸し出すM-7"I Realized"。それぞれどうしようもなく暗いパートがあるかと思いきや、冬の夜のロウソクの明かりみたいな温かさを帯びていたりするのがたまりません。



硬派なパンクロックの中に、ディレイがかった上モノがパワーを生み出す方向で鳴らされているM-8"The Same Routine"、アコースティックギターを用いてよりトーンを落とすM-3"Not Ready"などもインパクトある楽曲です。



それと明らかに1曲だけ違うベクトルを向いていたのがM-10の"Apricot"。この曲が名曲。アカペラのコーラスから入って、そこまでの流れを全く無視するかのように温もりのある演奏、メロディーで、ここまでこのアルバムでさまざまな方向性の暗さと向き合ってきた僕はなんだか報われた気がしました。笑 アルバムの中で1曲だけベクトルの違う曲があると、捨て曲って扱いをされることも多いけれど、この曲が入っていないとこのアルバムは闇雲に暗いだけで面白みの無いアルバムって思ってただろうなあ。



コードの使い方とかPolar Bear Clubに近い部分があったりしますが、PBCもそうであるように、なんだか男臭い優しさみたいなものを感じるアルバムです。ただその方向性はもっと暗くて儚いところに向いていて、それがこのバンドを特徴づけているのかなあと思います。

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