2015年8月24日月曜日

【Disk Review】A Tree At Last "On feit notre possible" (2015)

聴き手を巻き込みじりじりと焦がしていくサウンドが圧巻。

A Tree At Last "On feit notre possible" (2015)
Rate 4.55 / 5.00




パンクロック、A Tree At Lastのアルバムです。速いバンドが多いとか書いておきながら1発目からそうでもない。笑 ただ先週来日のHarbourと対バンがあったりするし、バンド自体メロディックのシーンとの繋がりが存在するみたいです。

このバンドはイントロからして「この曲ヤバいかも」って思わせられるようなクレイジーさが最大の魅力です。空間系の効いたミステリアスなサウンドでありながら、突如として核心を突くかのように生々しいサウンドで聴き手をハッとさせたり、感情を高ぶらせた叫びにも近い形のボーカルを取っていたり。クレイジーさの正体はこうしたことから生まれる尋常ではない緊迫感の高さにあると思うのですが、これがアルバム全編を通して一貫されているので、聴いていて彼らの世界に引きずり込まれてしまいます。

そういう点ではPUPに近いかもしれませんね。彼らとは少し系統が違うけれど、1音目から「なんかヤバい」と思わせる感じは非常に近い物があります。メロディック寄りのPUP、って言うと伝わるかも。M-1みたいなリフはTorche Amoreのように激情系を彷彿とさせるものがあるし、パンクやハードコアの胸が熱くなる部分を上手い事抽出して昇華しているなあと思います。





中でもお気に入りはM-1"Robots & Emotions"、M-7"Albatros, Albatros, Albatros, Math Bossé, Albatros"など。両者共、00年代前半のスクリーモ的なじりじりと聴き手をじらしていって、あるタイミングでいきなりドカンとくる感じが王道ながらいいですね。そのドカンが結構ドタバタとしていて、そのコントラストが鮮やかです。その辺は後者がより明確かな。

このテンションはぜひ一度ライブで体感してみたいところですね。PUPにビビっと来ていた人はマストでチェックすべき1枚です。

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